電力供給 2011 6 26
普通の人が想定する「停電」とは、
数分以上の停電でしょうか。
そういうわけで、数秒程度の停電は、
「問題ないだろう」と考えてしまうかもしれません。
ところが、家庭的には問題なくても、
ハイテク産業にとっては、重大な問題となります。
数秒どころか、0.1秒の停電や電圧低下でも致命的です。
たとえば、2010年12月に愛知県などで発生した電圧低下では、
わずか0.07秒だったにもかかわらず、
東芝の工場などハイテク工場が一時的に操業停止になってしまったのです。
(東芝は、これで100億円程度の損失を出したと聞いたことがあります)
昔話をしましょう。
ずいぶん昔ですが、
私が、日立製作所の汎用コンピューターで
システム開発をしていた頃の話です。
夏になると、管理担当のスタッフは落ち着かなくなりました。
とりわけ、夕方、空が曇ってくると、
彼らは、緊張してくるのです。
遠くで雷が鳴って、瞬間的に蛍光灯の明かりが、
瞬く程度の停電も、大変でした。
彼らが、青くなって、コンピューター制御室へ走っていく姿をよく見ました。
このように、瞬間的な停電や電圧低下でも、
ハイテク機器には、大きなダメージを与えるのです。
家庭においては、あるいは文科系の人は、
瞬間的な停電や電圧低下を軽く考えているでしょうが、
ハイテク産業が集積する日本においては、重大な問題です。
日本の大企業は、国際競争力を考えれば、
工場を海外に移転した方が、有利です。
いや、中小企業も、工場を海外移転させた方が有利でしょう。
それでも、海外移転しなかったのは、なぜか。
それは、海外では、電力供給に安定性が欠けていたからです。
こうしたことを、民主党の政治家は、どう考えているのか。
最近の言動からすると、民主党の目標は、日本を、
映画「ALWAYS三丁目の夕日」の時代に戻したいと願望しているように思えます。
みんな質素で貧しく、ハイテクではなく、ローテクにしましょう。
それが、民主党の深層心理の願望でしょう。